【レポート】2021年 サーバレス BI Amazon QuickSight の特徴総ざらい #AWS-43 #AWSSummit
こんにちは、岩城です。
普段QuickSightに触る機会が多く、本セッションに興味を持ち視聴しましたのでレポートします。
セッション情報
スピーカー
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 技術統括本部 インダストリーソリューション部 ソリューションアーキテクト 宮﨑 太郎(敬称略)
セッション概要
昨今の企業活動においては、従来よりビジネスで発生するデータに加え、デバイス等から生成される多種多様なデータが生成されています。生成されるデータの活用にあたっては統計的手法や機械学習など様々なものがありますが、企業としてデータを活用していく場合、大前提として「データを可視化し、関係者が自由にアクセス可能な状態とすること」が重要です。本セッションでは、クイックに使用を開始でき大規模スケールが可能なサーバレス BI ツール Amazon QuickSight について、2021年現在の主要機能・最新アップデートをご紹介します。
- セッションID
- AWS-43-S
- セッションレベル
- 初心者向け
- セッションタイプ
- AWSセッション
- ソリューション
- データレイクと分析|ビジネスアプリケーション
レポート
既存BIプラットフォームの課題
- 多くのBIソリューションはクライアント・サーバアーキテクチャでできている
- この場合ユーザーはサーバやライセンスを前もって購入する必要が生じる
- さらに利用頻度やトラフィックが不明な場合、最大トラフィックを予想して多めの数量を予め購入する
- 課題2
- 利用者のビジネスがスケールした際にスケーリングが必要となる
- 日々の運用監視やビジネスの成長に伴う継続的なインフラの管理が必要となる
- サーバにインストールするタイプのBIツールならば、サーバへのパッチ適用やバックアップが必要となる
- 高可用性や地理的冗長性を考慮する場合、BIツールのライセンスを考慮する必要がある
- 利用状況の増加や複雑な状況で環境リサイズが発生した場合、サーバのスケールアウトやスケールアップが必要となる
Amazon QuickSight
- 既存BIプラットフォームの課題を解決するため、クラウドネイティブなAmazon QuickSightを開発した
- クラウドネイティブとは
- サーバやソフトウェアを管理する必要がなく、少ないユーザーが利用開始し、大規模なユーザー利用が可能であること
- どんなに利用しても1ユーザあたりの利用料は月額$5
- BIツールは常にヘビーに利用するものではなく、利用にはバラツキがある
- 最大で月額$5のものと、より柔軟な利用料で組織として利用することができる
- この他に以下のようなBIを便利に利用することができる機能がQuickSightには組み込まれている
- AWSサービスとの統合
- プログラムによる操作
- アプリケーションへの組み込み
- 機械学習の利用
Amazon QuickSightの主要な4つの特徴
- 条件指定や絞り込みといったインタラクティブなダッシュボードを作成可能
- アプリケーションをインストールする必要なく、ブラウザだけで利用可能
- 数クリックで表示可能
- プッシュ型の情報展開機能を持つ
- 個別のユーザ・グループ毎に送信可能
- 日次・週次などのスケジュールでその時点のダッシュボードキャプチャをメールで送付することが可能
- 取り込んだデータを元に機械学習による異常検知、予測、文章の自動生成可能な組み込み機能がある
- SageMakerと連携し、独自のモデルを利用した予測を行うことも可能
- 作成したダッシュボードやダッシュボードを作成する機能そのものを独自のアプリケーションに埋め込むことが可能
- ISVやSaaSなどを提供する企業では、サーバ管理不要でマルチテナント可能なBI機能を提供することが可能
アーキテクチャ
- QuickSightは様々なデータソースのダッシュボードを作成可能
- ダッシュボードはアクセス制御によりセキュアに共有可能
- 従来のBIでは、利用量増加に伴い、サーバやライセンスの追加が必要なる。また、それらの管理も必要となる
- QuickSightはサーバレスなのでハードウェアの管理が不要
- ライセンスは利用料に組み込まれており、ユーザはライセンスを意識セずに利用可能
- 取り込んだデータを高速表示、集計するためインメモリDBのSPICEを採用
- SPICEはAWS側が管理するのでユーザで管理することなく利用可能
- AWSサービスだけではなく、CSVやオンプレミスのDB、SaaSとの接続が可能
- SaaS統合サービスAppFlowを利用することでスライドに記載されているもの以外とも接続でき、幅広い連携が可能
料金体系
- 2つのエディションがある
- Standard Edition
- Enterprise Edition
- QuickSightはユーザ単位の課金
- ユーザ種類は2つ
- Author
- Reader
- Authorはユーザあたり月額の課金、1ユーザあたり10GBのSPICE容量が付属
- 特徴的なのはReaderで、セッションに基づいた利用料
- BIツールの利用を予測できないケースにフィット
- どんなに利用しても月額$5であり、利用しなければ費用は発生しない
QuickSightの主要な5つの機能
- 2017年にGAされてから250以上もの機能アップデートが続けられている
- 選択、ドラッグ&ドロップで簡単にダッシュボードを作成可能
- 企業独自のダッシュボードも作成可能
- 様々なビジュアルを利用可能、今後も拡張される
- BIで扱うデータは様々な加工が必要であり、QuickSightではGUI操作で加工可能
- ダッシュボードを埋め込むだけなく、分析埋め込みと呼ばれるダッシューボード作成する機能の埋め込みも可能
- QuickSightに取り込んだデータに対し、機械学習の知識なしで、異常検知、予測、ナラティブ作成可能
- 特に異常検知では、異常値に関連度が高い項目を表示でき要因分析可能
- 異常検知時にEメールアラート可能
- 独自のモデルを使いたい場合はSageMakerと連携することで可能
- シングルサインオンやAD連携に対応
サンプル
- Amazon QuickSight のセルフハンズオンキット
- 1ユーザ利用であれば、QuickSightはEnterprise Editionであっても無料で利用可能です。MLインサイトや他のAWSサービス利用には別途費用が発生します
- 普段QuickSightを検証する機会が多いのですが、ハンズオンで構築した環境を残して検証に利用しています
事例
- アマゾン・ビジネス・プライム購買分析ツール提供
- ML Insightsを活用する大規模なレポーティング(株式会社大創産業)
- SaaS SFA/CRM埋め込みでBIオプションを提供(ソフトブレーン株式会社)
- グローバルホテルチェーンにおける大規模BI利用(Best Western Hotels&Resorts)
おわりに
QuickSightは簡単に可視化、ダッシュボードを作成することができます。QuickSightの知識ゼロでもハンズオンで十分学べ、1ユーザであれば無料利用枠の範囲で自由に利用できます。比較的検証をしやすいサービスなのでまずは触ってみることをおすすめします。
本エントリがどなたかのお役に立てれば幸いです。